「戦略」と「戦術」この2つはよく混同されがちで、ビジネスにおける会議でも「戦略的には・・・」と話しながら、戦術の話をしている場面が多く見受けられます。
この2つの違いを正しく理解していないと、ビジネスやスポーツといった不確定要素が多いものは良い成果を出すことが難しくなるほか、
「方向性を見失ったまま走り続ける」
「施策に手を打っても成果が出ない」
「チーム内における認識がずれてしまい、混乱を招く」
といった問題が起きやすくなります。
この記事では、「戦略」と「戦術」の違いをビジネスとスポーツ(サッカー)の両面から整理し、実務で使えるように解説、紹介していきます。
「戦略」と「戦術」の違い
「戦略」と「戦術」にはどうのような違いがあるのか、わかっているようで意味を混同している人は実は多くいます。
この項では、そんな2つについてわかりやすく紹介します。
戦略とは
戦略とは「目的達成のための方向性や勝ち筋」を指し、目的を達成するための方向性や枠組みのほか、長期的かつ全体的な視点になります。
例えばビジネスシーンでは
「低価格路線で市場のシェアを拡大させる」
「高付加価値商品で利益率を高める」
といった長期的であり、目的達成のための方向性を取り決めています。
スポーツ(サッカー)だと
「ボールを支配して相手を押し込む(攻撃型戦略)」
「守備を固めてカウンターを狙う(守備型戦略)」
「若手中心で構成し、経験を積ませながらチーム力を高める(育成戦略)」
といった、勝つためにどのようなチームにするのかを決めます。
つまり、目的達成のための方向性を決めること、これが戦略です。
戦術とは
戦術とは「戦略を実現するための具体的な方法と手段」を指します。
例えばビジネスシーンにおいて
「SNS広告を中心に集客を行う」
「サブスクリプションモデルを導入する」
スポーツ(サッカー)では
「相手の右サイドを集中的に攻める」
「相手の攻撃を早いプレスで潰す」
つまり、現場レベルの具体的な行動、これが戦術です。
よくある誤解と失敗
よくある誤解と失敗には、「戦略」と「戦術」を混同してしまうことで場が混乱してしまい、売り上げにつながらなかったり、チーム全体の士気が落ちてしまうことにつながります。
戦略とは「誰に」「何を」「動提供するのか」といった大枠の方向性。
戦術とは「戦略を実現するには、具体的にどういった手法を用いるか」を指します。
この項では、「戦略」と「戦術」を誤解したまま前に進もうとすると起こってしまう可能性のある失敗例を紹介します。
「戦略」が無いまま「戦術」だけを動かす
戦略(方向性)が決まっていないまま、戦術(方法)だけを取入れ動き出してもうまく成果が出ないことがあります。
これは、「目的地が設定されていないのに、とりあえず車や新幹線に乗り移動をしてみる」という状態と変わりません。
例えばビジネスシーンであるのが、
「集客のためにとりあえず広告費をかけてみるが、ターゲットが曖昧で思ったような成果が出ない」
「営業方法を変えてみるが、どの顧客層に集中するべきなのか決まっておらず、成約率が伸び悩む」
スポーツ(サッカー)では、
「どのようなスタイルで戦うのか決まっていない状態で、とりあえず技術的な練習や動き方のレクチャーを行う」
このように戦略を決めないまま戦術に走ることで、仕事をやっている感を出すことができますが「イマイチな結果」になってしまうことが多いかもしれません。
「戦略」と「戦術」がかみ合っていない
ビジネスのだと、戦略に
「高級ブランドとして他社と差別化する」としているのに、戦術として用いられるのは「値引きセール」を起用。
「顧客満足度No.1」を掲げているのに、用いられる戦術は「短時間で顧客をさばく効率重視」の対応策。
スポーツ(サッカーだと)
「守備を重視した試合」を戦略としているのに、選手には「最終ラインを上げろ!」「前からどんどんプレスをかけろ!」と指示する。
このように「戦略(方向性)」と「戦術(現場の動き)」がバラバラだと従業員や選手は混乱し、上手く機能しないうえに本当の顧客ターゲットを逃す、勝てる試合に勝てなくなってしまうといったことにつながります。
「戦略」だけを立てる
ビジネスにおいて、
「3年後にはシェアNo.1」という中長期的な戦略を掲げているのに、具体的なこと(戦術)は何も決まっておらず臨機応変に対応するように指示される。
戦略がスローガン化してしまい「結局、何をすればいいのか?」と従業員が戸惑う。
スポーツ(サッカー)だと、
監督から「攻撃的なサッカーを(戦略)」と伝えられるが、実際の動き方やフォーメーション(戦術)は指示されない。
このように、戦略(方向性)をしっかり決めても戦術(具体策)がなければ、全員が戦略をバラバラの意味で理解することで現場は更に混乱してしまいます。
また、戦略は抽象的であるため一人一人の解釈によって理解度に大きなズレが生まれます。
そのため、戦術をしっかりと決めることで、全員が同じ方向を向き進むようにすることが大切です。
「戦略」と「戦術」をうまく連動させる
「戦略」をうまく連動させるためには「戦術」を明確にし、全員が同じ方向へ向くようにすること。
この「戦術」が「戦略」にどうつながるのかを説明できるようにすることが、うまく連動させることになります。
不確定要素の多いビジネスや刻一刻と状況が変わるスポーツにおいて、臨機応変に対応、確かにこれも大切な要素であり考え方でもあります。
でも、現場の対応全てが臨機応変になってしまうと、社員やチームメンバーの理解度によって進む方向や結果がバラバラになる可能性が高くなります。
そのため、方向性が決まったらそれに向けてどう取り組むべきなのか、しっかりと話し合うことが大切です。
また、現場で起こるイレギュラー対応にも臨機応変に対応した後、対応方法に問題が無かったか、次に同じようなケースが発生した場合の対応策を共有するといった「振り返り」は、戦略と戦術をうまく連動させるために重要です。
まとめ
この記事では、「戦略」と「戦術」の違いをスポーツ(サッカー)を交えて紹介しました。
「戦略とは海図」「戦術とは船の進め方」という例え話しもあり、どちらが欠けても思うような結果に辿り着くことは難しくなってしまいます。
仕事やスポーツにおいて、今取り組んでいることがある場合、戦略(方向性)と戦術(方法)をしっかりと仲間と話し合っておくことをおすすめします。
そして、もしあなたがそれを決める立場にいるならば、チームメンバーが混乱しないよう、しっかりと舵取りを努める必要があります。
あなたのチームは戦略と戦術、しっかりと理解し噛み合っていますか?
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